勉強になりました

 パソコンのファイルを整理していたら見慣れない「温泉xx」と書いてあるファイルが。
 ダウンロードした記憶はすっかり失われていたものの、試してみたところsof-la-softの『温泉ホテルxx大作戦』でした。このソフト、値段が付いていない、けれどもただではないという変わり者。試してみて価値があったと思う金額を振り込みなされという販売方式。人の善意を全面的に信頼したその潔さっぷりがとてもすばらしい!
 
 試してみたところ、これはこれでなかなかディープな世界で興味深い。普段はソフ倫を通った商業版を買っていて、同人版は一部の準メジャーみたいなところを除いて、絵の質的にちょっと、と思ってほとんど手を出さなかったのだが、試してみると、なるほどこれがタブーのない世界でできる表現かと、妙に感心した次第。表現の自由はこうやって行使するんじゃ、と身を挺して啓蒙しているリヴァイヤサンの新エロイーズを地でいく作品とお見受けしました。
 
 面白いと思ったのは、別に誰から規制されているわけでもないのに、登場人物の年齢やそれを推測させるようなワードが一切出てこないところ。普通のゲームのようにピー音的な隠し文字があるのは、これは隠すことにより表現できる何かがあるからなんだろうと思うが、年齢部分も分からないことでかもし出す効果を狙ってのことでありましょうか。いや、これは個人的にはどちらかといえば作者の良心が働いたという方が当たっているのではないかと感じるわけであります。さくらんぼ小学校などはもう堂々と5年生などと言い切ってしまっている作品が多いわけで、年齢隠しは同人のお約束というわけではないんだと勝手に思ってますが、規制のない世界でも何でもやっていいってわけじゃないんだぞ、という社会のルールのようなものをそこに垣間見させてくれるそのチラリズムぶりは、家政婦がふすまの間から見てる世界に匹敵するものがある。
 
 行動経済学の実験で、全く何もルールがない状態で1人の人に1つのものを2人で分ける権限を与えると、もともと経済学が想定している経済的合理人であれば全部独り占めとなるはずなのに、実際は半分に近いところ(自分の方が多いけど)での分配が行われる、という実験結果が出てるらしい。この結果はこれはこれで面白くて、種の保存とか何かアチラの世界に入っていくようなグレートプレーンズ並みの大きさの風呂敷ハナシにもなっていったりするわけですが、要するに人には良心なり良識なりというのがあるわけですね。
 そんな人に平等に配分されたボンサンスを思わぬところに感じ、孟子もいいけどデカルトもやるねぇと見直した、xx大作戦。ということで1000円くらいは振り込もうかと思ったけど、手数料がきっと210円かかるからその分は引かないと損した気になるプロスペクト理論を地で行くワタクシ。