アルテミスブルー 感想を記すに当たって



有限会社AKABEiSOFT2のブランド「あっぷりけ妹」から2月24日に発売されました「アルテミスブルー」をプレイし終わりました。


結論からいうと、前評判以上に素晴らしい作品でした。


近年の作品では、etudeという会社が3年半ほど前に「そして明日の世界より」という作品を、健速氏のシナリオ・プロデュースで発表していて、僕の中で大ヒットになりましたが、この「アルテミスブルー」は、これに匹敵する良作であると思います。


あかべぇ作品でいえば、僕の中では2008年のG線上の魔王以来の大ヒットと言ってよいと思います。


世評を色々と読みますと、アリーの可愛さとか、3章のクライマックスなどが高い評価を得ている一方、後半にケチを付けるものが多く、特に桂馬の物語を終焉させる部分は色々と批判を浴びているようです。


確かに最終章の桂馬の再挑戦の件はもう少し余韻を残すような見せ方(例えば、エンディングロールでほのめかして、最後に桂馬と亜希子とアリソンに加えてアリソンの妹か弟かが一緒に写っているセピアの写真か何かで締めるとか)をしたほうがスマートだったのかも知れませんが、シナリオライターの井上啓二氏は
、そこをしっかりと描きたかったということなのだと思います。


こういったシナリオものの作品は特に、おはなしの描き方は我々ユーザーのニーズによって評価するではなくシナリオライターの手に委ねられるべきものと僕は考えます(るーすぼーい氏の作品などもこの類型に入りますね。)。その上で、その作品からどういったものを読み取ったかということを、レビューすべきだと思うのです。それは、しっかりとした文学作品を読んでこれに感想を述べるのと似ています。


本作品は、その下準備にあたるリサーチから場面設定の組み方、キャラクター造形やシナリオ上の仕掛けまで、井上啓二氏の渾身の作というべき出来のシナリオであり、これに応えるようなレビューを世に問うことが、ユーザーとしての礼儀、あるべき姿であろうと思いましたので、そんなスタイルの長文感想を記したいと思います。


そういった趣旨の感想・レビュー文章なので、当然のことながらプレイ済であることを前提とした記載となっております。したがい、未プレイでネタばれを忌避する場合には、プレイ後に自分の感想と照らし合わせて一読してもらえればと思います。


〜目次〜
感想その1 「感想を記すに当たって」 このエントリー
感想その2 「ハルの物語その1」   こちら
感想その3 「ハルの物語その2」   こちら
感想その4 「桂馬の物語」      こちら